11番(小林 健伸君)
皆様,おはようございます。
自由民主党岡山県議団の小林健伸でございます。
傍聴の方,朝早くからありがとうございます。
石井知事には4選を果たされましたこと,まことにおめでとうございます。心よりお喜びを申し上げます。
本論に入らせていただく前に,例によって少し長目の前置きから始めさせていただきます。
今日のままの不景気は,底の知れない不景気であります。前途暗たんたる不景気であります。これに反して,緊縮,節約によるところの不景気は底をついた不景気であります。前途こうこうたる光明を望んでのいっときの不景気であります。我々は国民諸君とともに,このいっときの苦痛を忍んで,後日の大なる発展を遂げなければなりません。この言葉は,ごく最近,政府首脳のだれかが発言した言葉ではありません。今から79年前に,時の内閣総理大臣濱口雄幸が「国民に訴う」と題して,緊縮財政がもたらす意義を説いた一文の中の言葉です。昭和4年,1929年8月,政府は金解禁と緊縮財政に対する国民の理解を得るために,1,300万枚のビラとラジオ放送を使い,国民に呼びかけます。ところが,金解禁実施直前の10月24日,ニューヨーク株式市場の大暴落を機に,世界は大恐慌の時代に突入します。濱口内閣の緊縮財政はデフレを加速させ,金解禁は超円高をもたらしました。そして,世界恐慌のあおりをまともに受けた日本経済は,まさしく奈落の底に落ち込んでいきました。やがて金解禁発表から1年後の1930年11月14日,濱口総理は東京駅のホームで狙撃されることになるのです。このときの言葉が「男子の本懐」という言葉であります。
歴史は繰り返すとの言葉のとおり,現在の私たちの足元で起きている経済混乱は,まさしく昭和初期の世界恐慌をなぞるような動きであり,最近の雇用情勢をめぐるニュースは,昭和初期の日本各地で起きた農村の苦しみを思い起こさせるものではないでしょうか。当然にも,今日の日本経済は昭和初期の規模とは大きく異なり,盤石の経済基盤が存在しているわけですから,単純に比較できるものではありませんが,大きなフレームでとらえるならば,極めて多くの類似点を見出すことができると思います。
例えば,昭和初期における日本の輸出産業の主力は,繊維製品,とりわけ欧米の女性がこぞって求めたストッキングに使う生糸でありました。アメリカの株価暴落は消費を低迷させ,絹の靴下を履く者などいなくなります。生糸は円高の影響も受け,単価は暴落し,日本の農村経済を辛うじて支えてきた養蚕業も致命的な打撃を受けます。生糸の単価指数は1929年,85.3でしたが,翌年には59.7まで下がりました。約3割の下落でございます。「日を追って,週を追って,状況の厳しさが増している。オイルショックや円高など,何度も危機を乗り越えて成長してきたが,現在の状況はこれまで以上の緊急事態と認識している」,トヨタの木下光男副社長は,本年11月6日の中間決算発表でこう語り,世界規模で自動車販売の環境が厳しさを増している現実に危機感をにじませました。今や世界最強の自動車メーカーとなったトヨタをして,こう言わしめる状況下,若い人たちが次々に職を失っていく姿に,昭和初期の輸出の花形であった生糸の状況を重ね合わせて考えるのは乱暴なことでしょうか。
私は今回,麻生総理をして,「日本には100年に一度の暴風雨が吹き荒れている」と言わしめた経済状況にかんがみ,これから岡山県の財政政策が目指さなければならない課題について,真摯な検討を早急に準備する必要性を訴えていきたいと思います。
それでは,通告に従い順次質問に入らせていただきます。
まず,最初にお伺いします。
知事は,今日の世界経済,日本経済の現状について,どのような認識に立っておられるでしょうか。私は冒頭述べましたように,現在の状況は昭和初期の時代に酷似していると考えております。それゆえ,経済対策の内容も尋常なものではとても間に合わないという危機感を抱いています。県の行政に何ができるかという問題に先立ち,知事が現在の経済状況をどのようなものとしてとらえておられるのか,お伺いします。
知事は,さきの提案説明要旨において,今後の経済対策としては,中小企業の資金繰り対策や雇用対策などを上げられ,できるだけ影響が生じないよう,行財政構造改革を進める中にあっても,経済,雇用対策に全力で対応と表明されました。私にはこの表現に財政改革の方向が集約的に表現されているように感じました。つまり,今実行しようとしている行財政構造改革は景気の足を引っ張り,県民の生活にネガティブな影響を与えかねないものだという懸念を,苦しい胸のうちを,知事はお持ちではないでしょうか。今が大変重要な時期です。県民に向かって,景気が悪くなるのは仕方がないという気持ちを払拭させるような動きをしていただきたい。国がつくった財政指標をもとにして,これ以上の数値になったら財政再生団体に転落だぞという,地方を牽制し,人の気持ちを委縮させるような行為を,体を張ってやめさせる,このような姿こそが,県のリーダーたる知事に求められているものだと思います。この際,全国知事会の先頭に立ち,政府に財政再建路線の転換を明確に迫り,もって国の財源責任の地方への転嫁を阻止する意気込みを示していただきたいのです。いかがでしょうか。
経済は人の心理状態に強く左右されます。経済が安定していて将来不安もない,経済の拡大が続き,これからは自分の生活も豊かになると思えば,国民は消費をふやし,企業も設備投資をし,生産性を上げ,将来の需要増に備えます。逆に,財政再建を金科玉条として経済危機をあおれば,国民は将来に備え消費を減らし,企業も需要減に備え設備投資を控え,生産性は上がらず,新たな投資へは消極的で,しかも銀行も不良債権の発生を抑えるために新たな貸し出しを控えるといった悪循環のままなのです。
こういった景気の低迷する中で,岡山県においては,近い将来夢づくりプランに基づく明るい未来が待っているのでしょうか。皆さんの心に明るい未来を開くための知事の力強いメッセージをお聞かせください。
麻生総理の100年に一度の暴風雨が吹き荒れているという発言は,昭和恐慌並みの,あるいはそれ以上の経済危機であることを認めたということです。そうであれば,昭和恐慌から脱するために,大規模な財政出動を行って日本経済を救った,高橋是清の積極財政をお手本にすべきではないでしょうか。私は現在のような小出しに出てくる経済対策では国民の反応は鈍く,無駄なお金を今ばらまくのでなく,将来増税しなくてもよいようにとっておいてほしいと思うのが,素朴な国民感情というものだと思うのです。
歴史は学ぶためにあります。もう少し歴史について語らせていただきます。濱口総理の大失敗の後を受け,内閣総理大臣の勅命を受けた我らが岡山県の巨星犬養毅は,昭和6年,1931年12月13日夜半,組閣人事発表と同時に,日本円の金本位制離脱,金輸出再禁止を断行しました。この決断は大蔵大臣高橋是清によるものでした。翌朝の株式市場は暴騰し,全国の取引所は殺到する買い注文に応じ切れず,一斉に立ち会いを中止したという記録が残っています。冒頭の昭和初期の状況を覆すべく,ケインズの一般理論発表よりも5年も先取りした高橋是清の積極財政について,詳細を述べる余裕はありませんが,高橋は矢継ぎ早にデフレ対策を行い,積極財政に転換し,その財源の国債を日銀に引き受けさせることによって,金利の上昇を抑えた巧みな経済運営を展開しました。
当時の名目経済成長率の推移をちょっと示してみますと,大恐慌の年,1929年,昭和4年でございますが,マイナス1.3%,30年,マイナス9.9%,31年,マイナス9.6%,そして,この年の暮れに犬養内閣が発足しています。翌年から,これはプラスでございますが,32年,4.2%,33年,9.9%,34年,9.3%,35年,6.8%,36年,6.4%,これ最後は昭和11年になりますが,この年の2月26日,高橋蔵相は二・二六事件によって暗殺されているわけでございます。32年からの経済成長は実にすばらしいものがあります。実際,欧米列強はこのころまだ恐慌の真っただ中にあり,ただ一国,日本だけが恐慌からの脱出に成功したのは,歴史の示すところであります。1932年に日銀が国債の引き受けを始めた後も,物価の上昇は年率で1%から3%にとどまり,1936年までに日銀券の発行量が40%ふえ,鉱工業生産高は2.3倍に拡大,そしてこの間に,不良債権の処理も進んだのでした。戦後,高橋是清は,日本のケインズと呼ばれました。
知事,いかがでしょうか。恐慌に立ち向かう有効需要の創出を政府が決断できないのであれば,岡山県が先鞭をつける,こうした気概を知事にお持ちいただきたいものです。御所見をお伺いします。
ところで,足元の対策ですが,まず金融対策が最優先であることは明快です。今全国の信用保証協会には申し込みが殺到していると聞きますが,県としては今後,中小企業に対する金融支援の方策をどのようにお考えでしょうか。産業労働部長にお尋ねいたします。
次には,景気刺激のための財政出動はどうあるべきかという問題です。ケインズの有名な例え話に,失業者に穴を掘らせて,また埋めさせることが有効需要につながるというのがあります。この比喩は理論的には正しいのですが,日本では悪い冗談と受け取られがちです。これは過去の財政出動が,必ずしも高い効率でなかったということに起因するものと思います。身近では,このたびの見直しで,県管理の手を離れる公共施設の内容を見れば,それは明らかです。
知事は今後,いわゆる箱物の整備について,どのような方針をお持ちなのでしょうか。また,政府が緊急経済対策として公共事業財源を措置してきた際には,どのような分野に重点配分しようとお考えですか,知事の御所見をお伺いします。
今回,外郭団体も多数が整理の対象となっていますが,これは大変結構なことであると考えます。こうした一連の流れができてきたのは,6月以来の行財政改革の成果であり,石井知事の手腕であると,私はもろ手を挙げて賛成いたします。
そして,さらに今後,存続となった公の施設や外郭団体の見直しを進め,これを新しい経済循環に変える,つまり見直しにより生じた予算を新たな施策に使っていただきたいと思うのです。知事のお気持ちをお聞かせください。
そして,従来の体制に依存してきた民間の企業も,新たな市場,新たな事業分野へシフトを図ること,つまり創造的破壊を促すことが最も大切です。財政出動に際しても,同様の新たな発想が必要なのです。マルクスの弁をかりれば,創造的破壊こそ資本主義の本質的メカニズムであります。危機に陥ったとき,古い業界が解体して新しい挑戦者が参入するメカニズム,これが資本主義であります。そして,そのときがイノベーションのチャンスでもあります。ある学者は,過剰な既存産業保護が日本の長期不況の元凶であることを指摘し,不況期にこそ,創造的破壊を支援する財政金融政策が必要だとしています。従来型の企業が変身できず,創造なき破壊になってしまわないよう万全の注意を払いつつ,大胆な産業転換につながるような政策こそが不況期に求められています。あるいは,もうそれしか手がないと言っても差し支えないと思います。こうした考えについて,知事の御所見をお伺いします。
この創造的破壊のアメリカにおける好事例を申し上げます。私がいつも思い浮かべる風景です。それは岡山市の友好姉妹都市,カリフォルニア州サンノゼ市及びその周辺です。1980年代の初め,人口30万ほどの果樹園芸中心の,岡山市によく似た静かな町だったサンノゼは,今や人口は周辺市町合わせて約500万人,一帯はシリコンバレーと呼ばれています。アメリカ経済が最悪と呼ばれた1980年代にこの地で数多くのIT企業が芽生え,また成長しました。インテル,ヒューレット・パッカード,アップル,ヤフー,オラクル,グーグル,その他数え切れないほどです。サンノゼは雨が少なく温暖です。メキシコ暖流がつくり出す雲は途中で霧になって,サンフランシスコの上空を覆います。その結果,シリコンバレーにはいつも乾いたきれいな風が吹き込み,カリフォルニアの青い空が広がるのです。地域の行政は町の中心にあるスタンフォード大学と連携し,「我々の地域はアメリカで一番空気がクリーンです,全米有数の大学もあります,電子産業には最適の立地です」という言葉で精力的に企業誘致を行い,スタンフォード大学は,多くの学生をベンチャー企業創設に向かわせる総本山となりました。私は90年代にシリコンバレーに何度も足を運びましたが,訪れるたびに拡大を実感させる町並みに,ただただ感嘆したのを思い出します。
IT産業全体でも,1980年代は大きな分岐点でした。このころ日本企業は我が世の春を謳歌する一方,アメリカは暗く長いトンネルでもがいていました。ウォール街ではハゲタカファンドが企業を切り売りし,沈没するIBMからは大量のエンジニアが西海岸に脱出したのです。この苦しい80年代に多くの巨大企業,いわゆる前世代の恐竜企業が死に絶え,IBMは社員を半分に減らし,AT&Tは3分割されて,インターネットの開発に社運をかけておりました。その結果,従来企業は資本効率を上げ,人的資源は新企業に移転されたのです。こうした不況期の創造的破壊がアメリカの90年代の飛躍に結びついたのであり,IT革命などという結果だけまねても,何も生まれないと私は考えます。今さらITなどとは申しません。地域振興のモデルとして,岡山市の姉妹都市の成長の歴史を説明いたしました。
危機をチャンスに変える発想を持つべし,私はそう申し上げたい。こうした発想に対し,岡山県を飛躍させる産業の集積にどのように取り組んでいかれるのか,お伺いいたします。
最後に,もう少し歴史の話をさせていただきます。若き日の高橋是清は,私の卒業した学園の初代校長であり,英語の教師でもありました。そのときの教え子の一人が後の海軍大将であり,二・二六事件では危うく難を逃れた,時の首相岡田啓介でありました。高橋は教壇に立ち,人はジェントルマンであらねばならぬと説き,それが今も学園の精神となって受け継がれております。列強諸国との軍拡競争の渦中にあって,高橋は最後まで日本経済の安定的成長を願い,犬養総理が五・一五事件に倒れた後も,軍部との激しい論争にひるむことはありませんでした。積極財政を推進しつつも節度を忘れず,みずからの信念を静かに貫く,これが高橋のジェントルマン精神でありました。大内兵衛は戦後,高橋を評して,「高橋さんは日本財政の最後の守護者であり,健全財政の最後の護持者であった。その後の大蔵大臣はいずれも,軍閥のための支出主計官にすぎなかった。」と述べています。この意味は,高橋がどうしても切ってはならぬと言った国債発行限度額の水準を,高橋の死後,二・二六事件以降,だれも顧みることがなかったという事実であります。
歴史は繰り返し,そしてまた,同じことを言いますが,歴史は学ぶためにあります。どうかこの現状を昭和初期の状況と比較しながら,積極的な財政に対する知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
以上で私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
知事(石井 正弘君)
自由民主党の小林議員の質問にお答えいたします。
今回の御質問は,経済対策についてでございますが,まず現在の経済情勢についてのお尋ねであります。
世界経済は金融の激変に加えまして,実体経済の弱体化が進みつつあり,まさに世界的な景気後退の流れが強まっている状況となっておりまして,今後の推移は予断を許さないものと考えております。我が国におきましても,世界的な金融危機の深刻化や,景気の一層の下振れ懸念,株式・為替の相場の大幅な変動などから,景気の状況はさらに厳しいものとなるリスクが存在していると認識いたしております。こうした中,県内の景気につきましても,弱目の動きが見られ,既に大手企業での減産が報じられるなど,企業の経営環境は厳しさを増しますとともに,雇用情勢も有効求人倍率は徐々に低下しておりまして,今後,経済情勢の悪化に伴い,一層雇用環境が厳しくなることを懸念しているところでございます。
次に,国の財源責任の地方への転嫁阻止についてのお尋ねでありますが,お話の地方財政健全化法に基づく財政指標は,地方公共団体の財政の健全性に関する比率の公表の制度等を設けまして,住民・議会によるチェックのもと,財政悪化を未然に防止し,みずから財政規律を確立していくということを目的としておりまして,そういう意味におきましては,地方分権の趣旨に沿ったものであると理解しているところでありますが,お話のとおり,平成16年度の国による一方的な地方交付税ショック以降の地方の財源不足,そして,それによります地方の疲弊は,これは国が責任を持って修復すべき課題であると考えております。こうしたことから,地方交付税の復元や地方税財源の充実強化につきまして,先月開催されました政府主催全国都道府県知事会議の場におきまして,私みずから麻生総理大臣に対し,強く主張をいたしますとともに,県政懇談会におきまして,地元選出国会議員と意見交換をいたしまして,さらに関係府省に対しましても,強く要望したところであります。今後とも,全国知事会等とも連携しつつ,あらゆる機会をとらえまして,国のほうに対しまして,一層強力に訴えてまいる所存であります。
昨日は,地方財政審議会におかれまして,地方交付税の増額を意見書としてまとめ,提言されておられます。国の財政事情のこの厳しさというものを地方財政に転嫁するということは,絶対に我々認めることはできません。私も議員の御主張のとおり,国に対して,なお一層強く主張してまいりますけれども,ぜひとも県議会議員の皆様方におかれましても,予算を決められるのは政府・与党の国会議員の皆さんでございますので,ぜひとも力強く働きかけをしていただきますように,改めてよろしくお願い申し上げる次第でございます。
次に,力強いメッセージについてでございます。
厳しさを増しております現下の財政状況の中,何をおいても経済,雇用対策が大きな課題であると考えておりまして,国の対策の動向も踏まえながら,機動性を持って全力でこれに対応してまいる所存であります。行財政構造改革の断行を初めといたしまして,県政を取り巻く状況は日々非常に厳しいものがありますが,この困難に断固立ち向かい,本県の明るい未来を切り開いていく決意でありまして,夢づくりプランの基本戦略に掲げております3つの戦略,教育と人づくり,安全・安心,そして産業と交流,この3つの岡山の創造を着実に推進することによりまして,交通基盤やIT基盤,産業集積等の本県が有しております優位性や個性,これらを生かし,そして人や物や情報が活発に行き交う岡山,そして心の豊かさや安全・安心な生活が重視され,それぞれの地域でお互いが心を合わせ,支え合いながら元気に暮らしている岡山,そうした活力と安心の岡山を県民の皆様方とともに築き上げてまいりたい,この決意でございます。
次に,有効需要の創出についてであります。
1930年代の昭和恐慌に対する国の見事な対応ぶりにつきまして,るる御紹介いただいたところでございます。現下の景気後退も,米国の金融危機に端を発しました世界的な現象であるということから,これに対する対策は,まずは国が中心となって全国的に力強く対応していかれるべき課題であると,このように考えております。こうしたことから,国において現在検討が進められております追加経済対策の実施に当たりましては,地方経済の安定化対策,そして地域活性化対策,これを強力かつ迅速に実施されるよう,先日国に対しまして提案また要望したところであります。その上で,本県も経済対策に関する国の動向を注視しつつ,国と協調しながら,県内の経済活動や県民生活などにできるだけ影響が生じないように,改革を進めている中にありましても,全力で対応していかなければならないと,このように考えております。
次に,箱物の整備等についてでありますが,本県では,厳しい財政状況の中,限られた財源を一層有効に活用するため,大規模施設整備事業の着手前に,その効果などを検討いたします事前評価制度を設けておりまして,今後,施設整備を行うに当たりましては,この事前評価はもとより,県議会を初め,県民の皆様からの御意見も踏まえつつ,事業の必要性やその効果等につきまして,十分検討した上で方針を決定すべきであると考えておりますけれども,現時点で新たな施設等の整備は予定していないところでございます。
また,国が緊急経済対策といたしまして,公共事業財源を措置してきた際の重点配分についてのお話をいただきましたけれども,現時点では,国の検討状況の詳細が明らかになっていないため,今後,国の動向を注視しながら,それらが明らかになった段階で,適切に判断し対応してまいりたいと考えております。
さらなる公の施設等の見直しでありますが,行革大綱(案)におきましては,譲渡や集約化等によりまして,56の公の施設を見直しをし,統廃合等によりまして24の外郭団体を見直すこととしておりまして,まずはこうした見直しを着実に実行していくことが重要であると考えております。なお,引き続き存続としている施設や団体においても,不断の見直しを行いまして,徹底的な歳出削減を図ることとしておりまして,こうした取り組みも進めながら,新しい施策が推進できるように努めてまいりたいと存じます。
次に,産業転換につながる政策についてでありますが,景気悪化による厳しい企業経営を打開するには,事業の縮小や効率化を図るだけではなく,新しい技術や商品の開発,新事業分野への進出など,事業転換に向け,前向きに取り組んでいくということが必要であると考えております。さらに,地域経済レベルにおきましても,これまで水島コンビナートに依存してきました本県産業の活性化のためには,厳しい経済条件下にある今こそ,いわゆるイノベーションによる新技術を核といたしました新産業の創出を通じまして,産業構造の転換を図る必要があると考えております。こうしたことから,既存企業の事業経営の改善に配慮しつつも,本県における技術的な強みでありまして,また今後成長が期待されますミクロものづくりやバイオなど,ものづくり重点4分野におきまして,選択と集中により戦略的な施策を講じまして,次代の本県経済を担う新たな産業基軸の構築を目指してまいりたいと存じます。
岡山県を飛躍させる産業の集積でありますが,活力に満ちた岡山県をつくるためには,第2の水島とも言える新たな産業基軸の構築が課題でありまして,そのためには産学官連携や戦略的な企業誘致の取り組みによりまして,技術革新企業や研究機関,支援機関が有機的に結びつきまして集積した産業クラスターを創出していくことが最も有効であると考えております。こうした考えに基づきまして,これまで,ものづくり重点4分野において,ミクロものづくりなど,産業クラスターの母体となる組織の育成や研究開発の支援に取り組んできたところであります。今後はさらに,施策の選択と集中を図りまして,革新的な新事業展開に意欲的な企業に対しまして,研究開発の支援を進めますとともに,交通アクセスの優位性や災害の少ない気候風土などをアピールいたしまして,産業クラスターの核となるような大規模工場の誘致を進めるなど,中四国における物づくりの拠点形成に向けまして,戦略的な産業振興を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
産業労働部長(小野 隆夫君)
お答えいたします。
中小企業に対する金融支援についてでございますが,国の緊急保証制度は,原材料価格の高騰などの影響を受ける545業種を対象に,10月末に創設されたところでございますが,最近の急激な景気後退を受けまして,11月に情報サービス業など73業種,今月10日から理美容業など80業種がさらに追加されまして,中小企業の約8割に当たります698業種が利用可能となっております。
また,県信用保証協会への申し込み状況につきましては,1日100件を超える日もございまして,先週末までの保証承諾額は約180億円となっております。このうち県の融資制度を利用されました企業が約3分の1程度ございまして,県といたしましては,今後の利用状況を見ながら,必要な融資枠を確保するなど,中小企業の金融支援に適切に対応してまいりたいと存じます。
以上でございます。
11番(小林 健伸君)
御答弁ありがとうございました。
これは要望ということで,もう少し今の景気にまつわる部分について述べさせていただきます。
景気という言葉でございますが,これは,また歴史の話になりますが,古くは鎌倉時代の鴨長明の方丈記の中に出てくる言葉だそうで,非常に経済用語とは違うんです。人の気持ちでありますとか,雰囲気,趣といった意味で使われる言葉でありまして,世間一般の社会的心理が含まれているわけでございます。英語のような他言語には,これに正確に合致する単語はないと言われてます。景気というのは日本独特のものでありまして,逆に言いますと,経済,景気というのは,ある意味では人の気持ちということになろうかと思います。ぜひ,厳しい中にあっても,人の気持ちを明るくさせると,そういうことを県政全体として発信していくと,このことがやっぱり将来につながるんじゃないかと,このように思っている次第でございます。
そんなことで,先ほど産業クラスターの形成等々,知事からは積極的な御答弁をいただいて,まことにありがとうございます。その中でも大変いいなあと思いましたのが,第2の水島をつくっていくということでございます。もちろん水島の発展ということも,さらにやっていかなきゃいけないわけですが,第2の水島づくり,これこそがこの時代に求められることと思います。
この間,私も公の施設の見直しを考えるために,有志とともにあちこちを見て回りました。特に印象に残ったのが,吉備高原都市の存在であります。例えばでありますが,吉備高原都市をさらに積極的に開発していただきたい。例えば,研究学園都市として,ちょうどあそこに,先ごろも話題になっておりましたが,生物科学研究所っていうのがありますけども,あれを核にして,全体を例えばバイオテクノロジーの研究地域として蘇生させていくということは可能ではないかと,このようにも考えております。今日の日本では,実は遺伝子組み換え技術のフィールドテストというのが大変困難であります。研究者は実験をするためには,アメリカまでわざわざ出かけなきゃいけないということですが,それでも不十分なようでございまして,そのギャップを埋めるような,例えば特区の設定をして,伸び伸びとあの地域ではフィールドテストができるという環境を整えることができれば,恐らく多くの研究機関がこぞってあの地に集まってくるのではないかと。このときに,県が行うのは特区の設定とか手続でありまして,財源は必ずしも必要じゃないんじゃないかと思うわけです。そういうレギュレーション緩和なり,特区の設定という人を寄せ集めるプランをつくるだけでも,後は民間のお金が自然に動き出して,集積が始まると,このようなことも可能なんじゃないかと思うわけでございます。これは要望でございますのであれですが,積極的なアイデアが新たな産業集積を図っていく上で大切なんじゃないかと思っておりますので,よろしくお願いしたいと思います。
以上でございます。